浜 直史
物質が何からできているか、そしてその構成要素の間に働く力とは何かを問うのが素粒子論だ。実験が技術的に難しい分野なので、仮説を理論的に検討していることが多い。現在特に多くの関心が集まっているのが超弦理論だ。
まず、物質が何からできているかを考える。ものは細かく分ければ分子や原子からできている。元素として分類すれば自然界にあるのは90種強だ。更に原子は電子と原子核に分かれ、原子核は陽子と中性子から成り、それらはクォークという粒子で構成される。
また、電磁気力などの力の正体についても、これらの粒子がまた別種の粒子を交換することこそ物質間に働く力なのだと考えれば、世の中の力の性質の多くをうまく説明できることが分かった。
この、物質を表す粒子と力を表す粒子を合わせて、現在、17種の素粒子で世界の大半を説明する理論が実験で確認されている。ちなみに、数年前に発見されニュースになったヒッグス粒子というのは、力を表す粒子の方に属するものだ。
しかし、この理論にはまだ問題が残る。例えば17種というのがまだ多いと思われていること。なぜなら、これらをもっとまとめられれば、他の問題も一緒に解決できそうだからだ。それにこの理論は、重力も含んでいない。いま確認されている力のうち、この理論にないのは重力だけだ。
超弦理論はこれらを解決する有力な仮説で、なんとたった1種類の弦、とても小さいひも状のものの振動の違いで全ての粒子を表すものだ。その全ての中には重力を伝える粒子も入っているので、重力も説明できる。この他にも多くの問題を自然に解決できると期待されている。